
僕自身、40歳をこえてモコ(トイプードル)と暮らし始め、「これは犬にあげてもいいの?」と迷うことが何度もありました。食事中に欲しそうな顔をされると、少しだけならと思ってしまいますよね。
しかし、人には身近な食べ物でも犬には中毒や消化管の損傷を起こすものがあります。この記事では、家庭で特に注意したい食べ物と、誤食したときの行動をまとめます。
食べた可能性があるときは、症状を待たず病院へ連絡
チョコレート、キシリトール、ネギ類、ぶどう・レーズン、タバコなどを食べた可能性がある場合は、「安全な量」を自分で計算せず、すぐに動物病院や夜間救急へ連絡してください。中毒は食べた量、製品の濃度、犬の体重や体調で危険度が変わり、症状が遅れて出ることもあります。
- 商品名・原材料表示・残った包装
- 食べたと思われる時刻と量
- 犬の体重、年齢、持病、現在の症状
以上を控えて獣医師へ伝えます。塩、オキシドール、指などを使って自己判断で吐かせないでください。誤嚥や食道損傷、塩中毒など別の危険があります。
チョコレート・ココア

なぜ危険なのか
カカオに含まれるテオブロミンとカフェインは、犬では分解に時間がかかります。嘔吐、下痢、落ち着きがない、呼吸が速い、頻脈、不整脈、震え、けいれんなどを起こし、重症では命に関わります。一般にカカオ分の多い製品ほど危険ですが、製品ごとに含有量が違うため、板チョコの枚数だけで判断できません。

食べた製品と包装を確保して、症状がなくても動物病院へ連絡します。自宅で24時間様子を見る、含有量を推測して待つ、といった対応は避けてください。
キシリトール

キシリトールは、シュガーレスガム、菓子、歯磨き製品、サプリメントなどに使われます。犬が摂取するとインスリンが急に放出され、短時間で低血糖を起こすことがあります。嘔吐、脱力、ふらつき、反応低下、震え、けいれんがみられ、摂取量によっては肝障害につながることもあります。
「なめただけ」「ガム1個未満」などの見た目で安全とは判断できません。製品によって含有量が大きく異なり、原材料表示に量が書かれていない場合もあります。食べた可能性があれば、症状を待たず直ちに動物病院へ連絡してください。
玉ねぎ・長ねぎ・にんにく・ニラなど

ネギ属の植物は、犬の赤血球を傷つけて溶血性貧血を起こすことがあります。生だけでなく、加熱済み、乾燥品、粉末、スープや調味料に溶け込んだものも注意が必要です。ハンバーグ、カレー、シチュー、だし、ベビーフードなど、形が見えない料理にも含まれます。
嘔吐や下痢のほか、元気消失、食欲低下、歯ぐきが白い、呼吸が速い、赤褐色の尿などが現れることがあります。症状が数日遅れる場合もあるため、食べた量が少なく見えても病院へ相談してください。
ぶどう・レーズン

ぶどうやレーズンは犬に急性腎障害を起こすことがあります。嘔吐、下痢、食欲低下、腹部の不快感、元気消失、飲水や尿量の変化などがみられ、重症では尿が出なくなることもあります。

犬ごとの感受性に差があり、ぶどうの品種や粒の大きさも一定ではありません。「何粒までなら安全」という基準で待つのは危険です。1粒でも食べた可能性があれば、時間・種類・おおよその量を伝えて獣医師の指示を受けてください。
人用の牛乳・乳製品
牛乳は上の中毒物質とは性質が異なりますが、乳糖を十分に分解できない犬では下痢、腹痛、ガス、嘔吐を起こすことがあります。脂肪や糖分の多いアイスクリームや生クリームは、肥満や消化器症状の原因にもなります。商品によってはチョコレートやキシリトールなど別の危険成分も含むため、原材料の確認が必要です。
人の乳糖不耐症の量を犬へ換算して「この量以下なら安全」とは判断できません。少量をなめた後に症状がなければ慌てすぎる必要はありませんが、量が多い、子犬・高齢犬・持病がある、繰り返し吐く、下痢が続く、ぐったりする場合は病院へ相談してください。
骨付き肉・魚の骨
鶏や魚の骨は、のどや食道に詰まる、口や消化管を傷つける、腸閉塞を起こす危険があります。加熱した骨は割れて鋭くなることがあり、生の骨にも窒息、損傷、細菌汚染などの危険があります。生・加熱済みにかかわらず、家庭で「比較的安全」と判断して与えないでください。
誤食後に咳き込む、呼吸が苦しそう、よだれが多い、何度も吐こうとする、腹痛、元気消失、便が出ない、血便などがあれば緊急受診が必要です。口の奥に見える骨を無理に引き抜くと傷を広げることがあるため、病院へ連絡してください。
タバコ・加熱式タバコ・ニコチン製品
タバコ葉、吸い殻、加熱式タバコのスティック、ニコチン製品、灰皿の水にはニコチンが含まれます。誤食すると嘔吐、よだれ、興奮、震え、ふらつき、下痢、心拍や呼吸の異常、けいれんなどが起こることがあります。
タバコを浸した水や液体製品は吸収が速くなる可能性があります。食べた・なめた可能性があれば、製品を持ってすぐ病院へ連絡してください。
有毒な植物
スズラン、ツツジ、ソテツ、キョウチクトウなど、犬に有害な植物は数多くあります。ただし、植物の科だけで一律に危険性を判断することはできません。正確な植物名、食べた部位、量、時刻が重要です。
鉢植え、切り花、球根、種、落ち葉、花瓶の水、肥料まで犬の届かない場所に置きます。植物名が分からない場合は写真と現物を安全に確保し、病院へ相談してください。
塩分・糖分の多い人用食品
犬にもナトリウムは必要ですが、必要量は総合栄養食で満たせます。スナック菓子、加工肉、汁物など塩分の多い人用食品を習慣的に与える必要はありません。大量の食塩を摂取すると、嘔吐、下痢、ふらつき、震え、けいれんなどを起こすおそれがあります。
「犬は汗をかかないから塩が蓄積する」という単純な説明ではなく、腎臓などによる体液調節、摂取量、飲水、持病が関係します。糖分の多い食品も肥満や栄養バランスの崩れにつながるため、味付けした人の食事は与えないのが基本です。
誤食を防ぐためにできること
- 食品・ガム・薬・タバコは扉付き収納へ入れる
- バッグや上着のポケットも犬の届かない場所へ置く
- ごみ箱はふた付きにし、調理中の落下物をすぐ拾う
- 家族や来客にも「人の食べ物を与えない」と共有する
- 散歩中の拾い食い対策として「離して」「ちょうだい」を練習する
- 夜間救急の電話番号と場所を事前に確認する
まとめ
犬の中毒は、見た目の量やインターネット上の換算表だけでは安全を判断できません。僕もモコと暮らしてから、欲しがるものをあげることより、危険なものを届かない場所に置くことが大切だと学びました。
誤食した可能性があるときは、症状や自己計算を待たず、製品・量・時刻・体重を伝えて獣医師へ相談してください。
参考:FDA「Paws Off Xylitol」、Merck Veterinary Manual「Xylitol Toxicosis」、Merck Veterinary Manual「Grape and Raisin Toxicosis」、ASPCA「People Foods to Avoid」